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第11章

仮面城(日文版)-第11章

小说: 仮面城(日文版) 字数: 每页4000字

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 文彦は腕にはめた夜光時計を見た。かっきり十二時。ああ、それなのに、銀仮面はまだあらわれない。だまされたのだろうか。
 おかあさん、おかあさん……。
 文彦はまた心のなかで叫んだが、そのときだった。風もないのにザワザワと、もたれているスギのこずえが鳴る音に、文彦はギョッとして、上を見たが、そのとたん、全身の血が、氷のようにひえていくのをおぼえたのである。
 スギのこずえになにやらキラキラ光るもの……アッ、銀仮面だ。泣いているとも、笑ってるともわからない、ツルツルとしたあの白銀色のぶきみな仮面。
「うっふふ、うっふふ」
 銀仮面のくちびるから、低い、いやらしい笑い声がもれてきた。
「小僧、よくきたな。いまそっちへおりていく」
 銀仮面はまるでコウモリのように、長いマントのすそをひるがえすと、ヒラリとスギのこずえからとびおりた。文彦は思わず一步うしろへあとずさりした。
 ああ、恐ろしい。その銀仮面がいま、文彦の前に立っているのだ。ピンと一文字につばの張った、山の低い帽子の下に、あのいやらしい銀の仮面が、にやにや笑いをしている。そして、からだはスッポリと、長いマントでくるんでいるのである。
「うっふふ、うっふふ、小僧、なにもこわがることはないぞ。約束さえ守れば、わしは悪いことはせん。小箱を持ってきただろうな」
「は、はい、ここに持っています」
 文彦はポケットをたたいて見せた。
「それをこっちへよこせ」
「いやです」
「なんだ、いやだと?」
「おかあさんを、先にかえしてくれなければいやです。おかあさんはどこにいるんです」
 それを聞くと銀仮面の仮面の奥で、二つの目が、鬼火のように気味悪く光った。

     消えた銀仮面

 ちょうどそのころ金田一耕助は、文彦から三百メ去毪郅嗓悉胜欷俊⒉荬啶椁韦胜摔欷皮い俊
 金田一耕助ばかりではない。等々力警部やふたりの刑事も、文彦をとりまく位置に、めいめい三百メ去毪郅嗓悉胜欷郡趣长恧摔欷皮い毪韦馈¥坤椤€y仮面がどの方角からくるとしても、だれかの目にふれずにはいられない。銀仮面のすがたを見たら、いったんやりすごしておいて、あとでそっと知らせ合うことになっているのだ。
 それにもかかわらず、いまもってどこからも合図のないのはどうしたことか。時計を見ると十二時三分。金田一耕助はしだいに不安がこみあげてきたが、そのときだった。
「だれかきてくださぁcy仮面です!」
 たまげるような文彦の声。金田一耕助はそれを聞くと、イナゴのように草むらからとびだし文彦のほうへいっさんにかけていったが、するとそのとき、むこうのスギの木かげから、パッととびだしてきたのは銀仮面。
 銀仮面は耕助のすがたを見ると、クルリと身をひるがえし、左手の丘をかけのぼっていく。
 しめた、その丘の上には、等々力警部が見張りをしているはずなのだ。
「警部さん、警部さん、銀仮面がそっちへ逃げましたぞ!」
 金田一耕助も丘の小道へかかったが、そこへやってきたのは文彦である。
「あ、金田一先生!」
「おお、文彦くん、きみもきたまえ!」
 ふたりが丘を半分ほどのぼったときだった。丘の上からピストルをうちあう音。金田一耕助と文彦は、ギョッとして顔を見合わせたが、すぐまた、すばやく坂をかけのぼった。
「吉井くん、村上くん、銀仮面がそっちへいくぞ!」
 丘の上から等々力警部の声。吉井、村上というのは見張りの刑事なのだ。金田一耕助と文彦はその声をたよりに、曲がりくねった坂道をのぼっていったが、ふいに文彦が、なにかにすべってよろけてしまった。
「文彦くん、どうした、どうした?」
 文彦は懐中電燈で足元を照らして見て、
「アッ、先生、こんなところに血が……」
 見れば道の上にべっとりと、血がこぼれているのだ。金田一耕助と文彦は、おもわず顔を見合わせた。
「先生、銀仮面はけがをしたのですね」
「そうらしい、警部のたまがあたったのだろう。この血のあとを伝っていこう」
 しかし、そこはひざもうまるほどの草むらなので、血のあとはすぐに見えなくなってしまった。その広い草むらには、あっちに二本、こっちに三本と、スギの大木がまもののように、暗い夜空にそびえている。
 ふたりがその草むらをわけていくと、またピストルをうちあう音。ふたりが顔をあげて見ると銀仮面が草をわけてよろよろと、こっちのほうへやってきた。そしてその三方からじりじりとせまってくるのは、等々力警部にふたりの刑事。金田一耕助もそれを見ると、警部にかりたピストルをとりだした。
 ああ、もうこうなれば銀仮面は、袋のなかのネズミもおなじことである。
 銀仮面はそれでもまだ、降参しようとはせず、あちらのスギ、こちらのスギと、たくみに身をさけながら、逃げられるだけ、逃げようとするようだ。それをとりまく五人の輪は、銀仮面を中心に、しだいにせばめられていった。
 と、ふいに身をひるがえした銀仮面は、また一本のスギの木かげにかくれた。そのスギの木というのは、地上三メ去毪郅嗓胃撙丹乔肖椁欷壳肖曛辘坤⑻丹趣い盲郡椤⒍ㄒ陨悉猡ⅳ恧Δ趣いΔ筏恧猡危郏!袱筏恧猡巍工税悖荬扦ⅳ搿
 五秒――十秒――、銀仮面は切り株のかげにかくれたまますがたを見せない。その切り株をとりまいて、四方からじりじりとせまっていくのは警部や刑事や金田一耕助。とうとう一同は、ほとんど同時に、切り株のそばへたどりついたが、そのとたん、キツネにつままれたように顔を見合わせた。
 ああ、なんということだろう。銀仮面のすがたはどこにも見えなくなっていたのだった。

     窓にうつる影

「そんなはずはない。そんなばかなことはない。あいつだって血と肉でできた人間なんです。煙のように消えるなんて、そんなばかな……!」
 一同があっけにとられてポカンとしているとき、そう叫んだのは金田一耕助である。怒りにみちた声だった。
「どこかにかくれているんです。さがしましょう。もっとよくさがすんです」
 しかし、いったいどこをさがせばいいのか。五人の人間が五人とも銀仮面がこの切り株の陰へはいるところを見たのである。しかもだれひとり、そこから出るところを見た者はいない。銀仮面はこの切り株のなかへ吸いこまれたのだろうか。
 そうだ。銀仮面は切り株のなかへ吸いこまれたのだ。それを発見したのは文彦だった。
「アッ、先生、この切り株はうつろですよ。そして、こんなところに血が……!」
「な、なんだって!」
 一同がびっくりしてふりかえると、文彦は懐中電燈で、切り株の幹を照らしていた。
 その切り株というのは、しめ縄が張ってあり、一面にツタの葉でおおわれているのだが、|縦《たて》にひとすじさけ目があって、そのさけ目にべっとりと血がついている。まるで、そこからけが人が、なかへ吸いこまれていったように……。
 金田一耕助がびっくりして、切り株をたたいてみると、はたしてポンポンとつづみのような音がした。等々力警部はツタの葉をかきわけて、切り株のはだをなでていたが、
「ああ、ここにちょうつがい[#「ちょうつがい」に傍点]がある!」
 なるほど、縦にならんだちょうつがい[#「ちょうつがい」に傍点]をたくみにツタの葉でかくしてあるのだ。
「わかった、わかった、警部さん、この切り株はうつろになっていて、木の皮がドアになっているのです。どこかにとって[#「とって」に傍点]は……?」
 そのとって[#「とって」に傍点]もすぐに見つかった。切り株の幹の、地上一メ去毪肖辘韦趣长恧恕⒋螭胜长证ⅳ盲郡ⅳ饯欷颏摔盲屏Δ蓼护摔窑盲绚毪取⒛兢纹い丧ⅳ韦瑜Δ衰靴氓辘窑椁い啤ⅳ胜楗单盲取⒗浃郡わLが吹きあげてきた。
 のぞいて見ると、なかはうつろになっているばかりではなく、地の底にむかって、まっ暗な縦穴がついているのだ。一同はおもわず顔を見合わせた。
「わかりました、警部さん。こういう秘密の抜け穴があるからこそ、あいつは今夜の会見を、井の頭と指定してきたんです。さあ、ひとつなかへもぐってみましょう」
 金田一耕助は、はかまのすそをたくしあげると、ピストル片手に、いちばんにその穴へもぐりこんだ。それにつづいて等々力警部、文彦、それからふたりの刑事がつぎつぎと、縦穴へもぐりこむ。
 その穴はやっと人ひとり、もぐれるほどの広さしかなかったが、それでもちゃんと、鉄のはしごがついていた。その鉄ばしごをおりていくと、ふかさは思ったほどもなく、間もなく横穴にぶつかった。
 その横穴をはいっていきながら、文彦は、成城の大野老人の家にも、これとおなじような抜け穴のあったことを思いだし、なんともいえぬほど、ふしぎな感じをいだいた。
 先頭をはっていく金田一耕助は、片手にピストル、片手に懐中電燈をかざしながら、
「警部さん、銀仮面はたしかにこの抜け穴を伝って逃げたにちがいありませんよ。点々として血がつづいています」
 その抜け穴をはっていくこと三百メ去毪ⅳ蓼辍㈤gもなくゆく手がほんのり明るくなってきた。どうやら穴のいっぽうの入り口へ、近づいてきたらしい。
「みなさんはここに待っていてください。ぼく、ちょっとようすを見てきます」
 金田一耕助は懐中電燈をたもとへしまい、ピストル片手に、入り口まではっていったが、そこはがけの中腹になっており、がけの下にはりっぱな洋館がたっている。そして、洋館の二階の窓の一つには、あかあかと電燈の光がさしているのだが、金田一耕助が穴の入り口から顔をだしたとたん、その窓のカ匹螭恕ⅳ盲辘趣Δ膜筏坤丹欷郡韦稀ⅳⅳⅰⅳ胜螭茹y仮面の影ではないか。
「アッ、銀仮面?」
 金田一耕助が息をのんだせつな、銀仮面の持っているピストルが、ズドンと火を噴いたかと思うと、
「人殺しだア、助けてえ!」
 と、叫ぶ声とともに電燈が消えて、窓はまっ暗になった。あとは墓場のしずけさである。
 ああ、それにしてもこれはだれの家だろうか。そして、救いを呼ぶ声はいったいだれなのだろうか。

     意外なけが人

 金田一耕助はピストルの音を聞くと同時に、抜け穴からとびだし、がけをすべりおりていった。抜け穴のなかに待っていた文彦や等々力警部、さてはふたりの刑事たちも、大急ぎでそのあとからつづく。
 庭をつっきっていくと、すぐ目のまえに勝手口。ドアがあいているので、金田一耕助がまっさきにとびこむと、家のなかはまっ暗だったが、懐中電燈の光をたよりに、すぐ階段のありかを発見した。
「警部さん、きてください。こちらです」
 金田一耕助を先頭にたて、一同がまっ暗な階段をのぼっていくと、ろうかの左手に大きなドア。銀仮面の影がうつっていたのは、たしかにこのへやにちがいない。
 一同がドアのまえにたたずんで、耳をすますと、なかから聞こえてくるのは苦しそうなうめき声。金田一耕助はそれを聞くと、ドアをひらいて、壁の|傍《そば》のスイッチをひねった。と、パッと電燈がついたが、そのとたん、一同はおもわずアッと立ちすくんだ。
 そこは寝室になっているらしく、へやのすみにりっぱなベッドがあったが、そのベッドの下にパジャマを着た老人があけに染まっているのだ。
 金田一耕助はそれを見ると、つかつかとそばへより、老人のからだを起こしたが、その顔を一目見るなり、
「アッ、こ、こ、これは……!」
 と、びっくりしておもわずどもってしまった。
「き、金田一さん、ど、どうかしましたか?」
 等々力警部もつりこまれて、おもわずおなじようにどもった。
「警部さん、見てください、このひとの顔を……あなたも知っているひとですよ」
 耕助のことばに文彦も、警部のあとからこわごわ老人の顔をのぞきこんだが、そのとたん、世にも意外な感じにうたれたのである。
「あ、金田一さん、こ、こりゃ宝石王の、加藤宝作さんじゃありませんか?」
 警部のおどろいたのもむりはない。いかにもそれは日本一の宝石王といわれる、加藤宝作老人なのだった。
 宝作老人は左の肩をうたれたと見え、パジャマにピストルの穴があき、ぐっしょりと血に染まっている。そして、たぶん出血のためだろう、気を失って、おりおりくちびるからもれるのは、苦しそうなうめき声ばかり。
「ああ、きみ、きみ、きみ……!」
 金田一耕助は気がついたように、刑事のほうをふりかえり、
「医者を、早く、早く……!」
 |言《げん》|下《か》に刑事のひとりがとびだそうとするのを、あとから等々力警部が呼びとめて、
「ああ、それから応援の警官を呼んでく

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