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第21章

仮面城(日文版)-第21章

小说: 仮面城(日文版) 字数: 每页4000字

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     石狩のトラ

「いやわけ[#「わけ」に傍点]もいわずに由美子さんのあとをつけまわしていたのは、わしが悪かった。しかし、これも警視庁の命令だからかんべんしてもらいたい。わしは|木《きの》|下《した》という刑事なんだよ」
 瀬川兄妹と俊助を前において、あのふしぎな小男は、はじめて身分をあきらかにした。
「しかし、その刑事さんがなんだって、由美子さんのあとを尾行しているんですか?」
 俊助はまだふ[#「ふ」に傍点]におちない。
「ふむ、きみがふしんがるのもむりはない。じつは――」
 と、木下刑事はひざ[#「ひざ」に傍点]をのりだすと、
「ちかごろ、北海道の警察から枺─尉晭丐摔郡い筏啤ⅳ窑袱绀Δ酥卮螭蕡蟾妞颏猡郡椁筏皮郡韦馈
 というのはほかでもない。むこうで|石《いし》|狩《かり》のトラという名で知られている、ひじょうに兇悪な強盗犯人が、枺─饲比毪筏郡椁筏ば污Eがあるというのだ。じつに恐ろしいやつで、人殺しでも強盗でも、平気でズバズバとやってのけようという悪党なのだ。
 警視庁でもすてておけない。ただちに手配して、最近、どうやらそいつではないかと思われるようなやつをひとり発見した。というのは、この石狩のトラというやつは、左足がなくって、木の義足をはめているものだから、それが目じるしなのだ。ところが、そいつが目をつけているらしいのが、ふしぎにも瀬川さん、あなたがたなんですよ」
「まあ!」
 由美子は、おもわずくちびるまでまっ青になった。
 しかし、そんな恐ろしい男が、どうして、こんなまずしい兄妹をつけねらっているのだろう。ぬすもうにもなに一つ持っていない、このびんぼうな発明家をねらって、いったいどうしようというのだろう。
「さあ、そのてん[#「てん」に傍点]です」
 と、木下刑事。
「警視庁でもそのてん[#「てん」に傍点]わけがわからないので、とにかくまちがいのないようにといって、このわしがひそかにきみたちを護衛していたわけなんだ。それがかえってきみたちのうたがいをまねくもとなんだが、きょうになって、やっと石狩のトラの目的というのがわかった。瀬川さん、これはじつによういならぬ事件ですぞ」
「よういならぬ事件というと?」
 健一は病弱らしい目をしばたたきながら、不安そうにたずねると、
「じつはきのう、北海道の警察からあらためて報告がとどいたので、はじめてわかったのだが、石狩のトラがねらっているのは、ビ圣工涡扦椁筏い韦馈
「ビ圣工涡扦趣いΔ韦希俊
「わしにもよくわからないが、なんでもヨ恁氓绚未蠊位适窑恕⒈ξ铯趣筏皮膜郡铯盲皮い俊r価、数儯鼉窑猡筏瑜Δ趣いΑⅳ工肖椁筏ぅ昆ぅ浈猊螗嗓坤饯Δ馈¥趣长恧ⅳ饯违昆ぅ浃匣实郅撙氦樯鶚S家の鮎川里子に贈られた。そしてさらに鮎川里子から、おいにあたる瀬川健一に、遺産としてゆずられたようすがあるというのですよ。
 つまり瀬川さん、石狩のトラがねらっているのは、あなたのお持ちになっている、何儯鼉窑猡工毪趣いΕ昆ぅ浈猊螗伞ⅴ萤‘ナスの星らしいですよ」

     かがやく星

 健一と由美子のふたりはぼうぜんとして、おもわず顔を見合わせた。
「しかし、しかし刑事さん。ぼくはそんな高価なダイヤをゆずられたおぼえはありませんよ。それはきっとなにかのまちがいでしょう」
「さあ、そこだ」
 と、刑事はひざをのりだして、
「鮎川里子さんも、きっと悪党がこのダイヤをねらっていることを知っていられたので、とちゅううばいとられるきけんがあると思って、なにかにかくして、あなたがたのところへ送ってこられた。ところが、その秘密をうちあけずに死んでしまわれたので、ダイヤはまだだれにも知られずに、かくし場所にあるにちがいないと思うのです。そこで瀬川さん、あなたはなにか鮎川さんから、生前贈られたものがありませんか」
「そういえば、おばは死ぬ少しまえに、由美子のところへ、きれいなフランス人形を送ってよこしましたが」
「それだ! その人形のなかにあるのだ!」
「あっ!」
 それを聞くと、ふいに健一が頭をかかえて、どうとその場にからだを投げだした。
「ぬすまれた! 知らなかった! 昨夜のくせもの[#「くせもの」に傍点]はわたしをしばりあげておいて、あのフランス人形を床柱にぶっつけ、こっぱみじんにしておいて、なにかさがしていました。ああ、あのとき、きっとダイヤを見つけて持っていったにちがいありません」
 ああ、なんという失望! なんというらくたん[#「らくたん」に傍点]! 知らぬこととはいいながら、数儯鼉窑猡工毳昆ぅ浃蛩证筏胜椤ⅳ撙工撙工饯い膜驉櫟长韦郡幛摔Δ肖とイ椁欷郡饯韦浃筏怠¥饯欷坤堡谓黏丹àⅳ欷小⒔∫护窝芯郡狻ⅳ胜瞬蛔杂嗓胜膜扭堡毪长趣扦郡韦恕
「にいさん、にいさん、しっかりしてください」
「ああ、おれはもうだめだ。おばのせっかくの心づくしを無にしてしまった。おれはなんというばかだったろう。おれの研究も、もうおしまいだ!」
 さすがの木下刑事も、暗然としてことばが出なかった。
 この若き発明家の失望、苦もんのさまから、おもわず目をそらすばかりであった。
 そのときまで無言のまま、うしろにひかえていた俊助は、ふとひざ[#「ひざ」に傍点]をまえにのりだすと、
「由美子さん、これ、あなたのマフラ扦筏绀Γ俊
「え? ええ、そうですわ」
「今、むこうの土手の下でひろったものです。まんなかからまっ二つに切られていますが、どうしたのですか」
 由美子はそこで昨夜のできごとを手みじかに話した。すると、俊助はギロリと目を光らせ、
「なるほど、すると、もういっぽうのはしをお持ちですか」
「はあ、ここにございますわ」
 由美子はもういっぽうのはしを出して、それを俊助にわたした。
「由美子さん、このマフラⅳⅳ胜郡帳撙摔胜盲郡韦扦工
「いいえ、これ、おばが編んであたしに送ってくだすったの。そうそう、あのフランス人形といっしょに」
「そうですか、瀬川さん。由美子さん」
 俊助はキッとひとみをすえて、
「ダイヤはまだぬすまれてはいませんよ。ご安心なさい。ちゃんとぶじにこの家にあるはずです」
「え、なんですって?」
 健一も由美子も木下刑事も、おもわず俊助の顔をふりあおいだ。
「よく考えてごらんなさい。ゆうべ、石狩のトラが、フランス人形のなかからダイヤを見つけたのなら、あいつはなぜ、そのまま逃げてしまわなかったのでしょう。なぜ由美子さんの帰りを待ちうけていたのでしょう。
 それはフランス人形のなかにダイヤがなく、由美子さんがかけているマフラ韦胜摔ⅳ毪瓤激à郡椁扦埂
 石狩のトラはこのマフラ颏Δ肖Δ趣筏郡⒂擅雷婴丹螭悉胜丹胜ぁ¥饯长啬鞠滦淌陇堡膜堡皮搿¥饯长扦浃啶胜敕智肖辘趣盲皮い蓼筏俊
 ごらんなさい。このマフラ韦栅丹摔膜い俊⑼瑜い啶工婴幛撙螭胜郅挨筏皮ⅳ辘蓼埂¥扦膝昆ぅ浃悉饯韦胜摔ⅳ盲郡螭扦筏绀Δ¥いい洹ⅳ埭悉饯Δ纤激铯胜ぁ¥搐椁螭胜丹ぁⅳ长违蕙榨椹‘についた泥を――これはくやしまぎれに地面にたたきつけて、むちゃくちゃにふみにじったしょうこで、つまりダイヤがなかったからです。とすると、ダイヤはもういっぽうのはしにあることになるじゃありませんか」
 そういいながら俊助は、いま由美子がとりだしたマフラ韦悉筏摔膜い客瑜い栅丹韦啶工婴幔郏!袱啶工婴帷工税悖荬蛞护囊护膜皮い亭い摔郅挨筏皮い郡ⅳ饯韦Δ了娜摔韦沥婴毪椁稀ⅳい盲护い恕
「あっ!」
 と、いう感嘆と歓喜の叫び声がもれた。
 ああ! 見よ。いましも俊助がほぐした赤い毛糸のむすびめから、コロリところがり出たのは、光輝|燦《さん》|然《ぜん》! 見るもまばゆい青色のダイヤ、それこそ全世界になりひびいたダイヤモンドの女王、ビ圣工涡扦坤盲郡韦扦ⅳ搿

 それから間もなく、あの兇悪なかた足強盗の石狩のトラが、木下刑事にとらえられたことは、いうまでもあるまい。
 健一と由美子の兄妹は、このダイヤを売ったばくだいな金で、いまでは幸福に暮らしている。そして、健一の発明が完成するのも、間もないことだろうといわれている。



   怪盗どくろ指紋


     サ工未笫录

「まあ、ほんとうね、|志《し》|岐《き》さん。あのひと、うちの書斎にある写真とそっくりだわ」
「でしょう? ぼくもきょう、あの少年の写真がポスタ顺訾皮い毪韦蛞姢啤ⅳ婴盲辘筏郡韦扦工琛#馈钉摺罚'《ほ》|子《こ》さん、それであなたをおさそいしたのですが、見れば見るほどよく似ていますね」
「ふしぎねえ。いったいどうしたというのかしら。あのひと、おとうさまとなにか関係があるのかしら」
 新日報社の花形記者三津木俊助が、こういう会話をふと小耳にはさんだのは、国技館の三階だった。なにげなくふりかえってみると、そこには青年と少女が、双眼鏡を目にあてて、一心に、下の円型サ工颏胜幛皮い搿
 男は年の頃二十二、三歳、色の浅で嗄辘扦ⅳ搿I倥悉饯欷瑜臧摔膜肖辘饽晗陇巍⒛郡未螭いà埭韦铯いつ铯恰ⅴ豫螗窝蠓恕ⅴ豫螗违畅‘トが色白の顔によく似合っている。ふたりともなにかしら異様な熱心さで、すり悚蔚驻韦瑜Δ圣旦‘カスをのぞきこんでいるのが気になった。
 そのころ、|蔵《くら》|前《まえ》の国技館には大じかけなヒポドロ唷ⅳ工胜铯链螗旦‘カスがかかっていて、都民の人気をあおっていた。俊助もそのひょうばんにひきずられて、なにげなく今夜見物にやってきたのだが、そこで思いがけなく耳にしたのがいまのささやき。
 新聞記者というのは、だれしも耳の早いものだが、わけても敏腕の聞こえ高いこの俊助、なにやらいわくありげなふたりのささやきに、はてな[#「はてな」に傍点]? とあらためて下のサ工蛞姢毪取ⅳい蓼筏狻⒑簸婴猡韦巍河碾懟ɑ稹护趣いη郡悉袱蓼恧Δ趣工毪趣长恧馈
 サ工蛞姢郡窑趣胜椁坤欷扦庵盲皮い毪坤恧Α%芝楗螗长楗芝楗螗长丐蕊wびうつる空中の離れわざ――『幽霊花火』というのは、つまりそういう離れわざなのだが、いましも昼をあざむくサ工亍ⅳ丹盲饯Δ趣嗓辘扦郡韦稀⒛辘雾暿摺藲r、それこそ巍诵韦韦瑜Δ嗣坤筏ど倌辍ⅴ豫氓骏晟恧撕悉盲勘√疑稳猡袱澶肖螭恕ⅴ豫豫猡虢鹕坞刈拧ⅳ栅丹栅丹趣筏矿姢颏窑郡い摔郡椁筏皮い毪饯蚊坤筏怠
 青年と少女が、あのひとといい、あの子というのは、どうやらこの少年のことらしいのである。
 プログラムを見ると、空中大サ埂河碾懟ɑ稹花D―|栗《くり》|生《う》|道《みち》|之《の》|助《すけ》とあるが、この道之助こそは、ヒポドロ啶盲皮稳藲菡撙纫姢āⅳ欷韦工郡ⅳ椁铯欷毪取瞿冥悉铯欷毪瑜Δ蚀螭盲丹ぁ
「志岐さん、ほんとによく似てるわね」
 美罚ё婴趣いι倥稀ⅳ猡铯荷颏栅毪铯护俊
「よろしい。それじゃぼく、ちょっと楽屋へいってあの子のことを聞いてみます」
「あら、そんなことをしてもいいの」
「だいじょうぶですよ。先生のごめいわくになるようなことはしやしませんから」
 青年は観客をかきわけて出ていった。
 意味ありげなこのようすに、俊助はいよいよ好奇心をあおられたが、そのときちょうど、にぎやかなシンフォニ我魳Sとともに、空中大サ埂河碾懟ɑ稹护文护肖盲坡浃趣丹欷俊
 道之助はスルスルと長ばしごをのぼっていくと、やがてヒラリとブランコに飛びうつる。と同時に、場内の電燈という電燈が、いっせいに消えてまっ暗がり、そのなかにあってただ一点、道之助のからだばかりが金色の虹と浮きあがったから、満場あっと息をとめた。
 思うに、道之助のからだには、リンか、あるいはそれに似た夜光塗料がぬってあるのだろうが、暗慰崭撙喟驻い郅韦蛲陇胜椤ⅳ猡Δ恧Δ雀·ⅳ盲郡趣长恧稀ⅳい摔庥碾懟ɑ黏构獬妯D―奇とも妙ともいえぬ美しさだ。
 観客席からは、たちまちワッとあがる歓呼の声。道之助はそれにこたえて手をふると、やがて目もくらむような幽霊花火の曲芸がはじまった。
 あるいは上下に、あるいは左右に、キラキラと金色の尾をひきながらとびかう幽霊花火は、やみのそこに、あるいは一団のほのおと化し、あるいは一すじの金の矢をえがいて、おどりくるう金色のが[#「が」に傍点]! ひとびとは鳴りをしずめてこの妙技に見とれていたが、そのとき、とつじょ場内の片すみから、
「手がまわったぞ。道之助、逃げろ、逃げろ!」
 という、ただならぬ叫び声

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